ある夏の少し前。海に近い街で。
" 他人の心が読める " 少年と、" 心に壁をもつ " 少女の出会いは、彼らと、その周囲の状況を少しずつ動かし始める。
その中でうっすらと見えてくる、諦めていた何か。気付きながら、目を背けていた何か。
そして ― その存在すら想像したことのない、何か。
それら全てが、彼らの青い夏と未来を、少し遠くから照らし始める。
目指すのは、それの方。
「灯り」の方へと、向かうのだ。
ある夏の日。
たとえ「ソレ」が導くのが " 終わり " だったとしても。
そして、その「終わり」すらも、何かの " 始まり " だったとしても。
周囲と同じように、他と少しずつ変わっている、 " 何の変哲もない " 彼ら。
それに気付かぬまま触れ合い、何かに照らされたのを感じた時より。
青い物語は、その本当の幕を静かに開き始める。 |